以前、noteにて「ドラムメーカーPearlについて勉強してみた」という記事を書きました。
今回は「すごいぜカノウプス刃キット!」のイベントでお世話になる、CANOPUSさんについて解説していきます!
なお、この記事は2010〜1015、2023年のカタログ情報を中心にまとめさせてもらっています。
CANOPUSとは星の名前

CANOPUSとは南半球に輝く星の名前です。その星の特徴から、「ドラムメーカーとしてまれなブランドであり、ドラマーに幸福をもたらし、真のブランドメーカーとして長寿でありたい」との願いが込められています。
CANOPUSの3つの理念
CANOPUSさんには3つの基本理念があります。以下の3つです。
- レコーディングされた(加工された)音の具現化
- 頭の中で美化されたビンテージサウンドの再現
- 音のみに拘らないルックスや材質にドラムの可能性、あり方の探求
レコーディングされた(加工された)音の具現化
音源で聴くような加工された音を具現化することに対し、CANOPUSさんは「各ドラムサイズごとのシェル構造を工夫することでサウンドのコントロール。ベアリングエッジ形状も追求。」といる方法をとっています。
この理念に基づきR.F.Mシリーズを作り、理論上、1/100mm単位までコントロール可能な技術を構築しました!
頭の中で美化されたビンテージサウンドの再現
この理念のもとにネオビンテージ(NV)シリーズを開発。NV-M1で「60年代のジャズ」、M2で「60年代のロック」を再現しています。
音のみに拘らないルックスや材質にドラムの可能性、あり方の探求
これらは後でお話しする、アクリルドラムやカーボンファイバーシェルの開発に関わってくる理念です。
ドラマー一人一人の個性に特化したカスタマイズサウンドも提案
CANOPUSさんは「3つの理念」からさらに踏み込み、100人ドラマーがいたら100種のドラムが必要という考え方をしていらっしゃいます。
サウンドを構成する要素(シェルの材質、構造、フープ、ラグ等のハードウェア、ベアリングエッジ、フィニッシュ、ドラムヘッド、チューニング)を徹底的にエンドーサーと話し合ってサウンドの調整を行っています。
フィニッシュとドラムサウンドの関係も重視
CANOPUSさんはフィニッシュによって音が変わることも重視しています。例えばカバリングだと、特に薄いシェルの場合に、胴を補強すると同時にことなる音の成分をそのカバリングから引き出すことにもなります。
さらに、ラッカー仕上げとオイル仕上げでも音色が変化すると考えています。同じラッカーでも各種類で研究済み。ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系など、全てを実験。1番広い周波数を発してシェルの特性を生かせる「ニトロセルロースラッカー」の採用に至っています。
塗装のクラックの可能性もあるが、確実に音が熟成されていく仕組みです。
フィニッシュごとに最適なシェルスペックについても研究済みです。塗装でも大きく音が変化するため、以下のようにおすすめしていらっしゃいます。
塗装の種類 | 特徴 |
エボニー、マットホワイト | オープンでライト |
スパークル系 | タイトでダーク |
各ドラムシリーズの特徴
3つの理念等をもとに、以下のドラムシリーズを開発されています。
- R.M.Fシリーズ
- バーチシリーズ
- ネオビンテージシリーズ
- カーボンファイバー
- マホガニー
- ゼルコバ
- 刃シリーズ
- アッシュ
- ブビンガ
- ステイブブビンガ
- アクリルドラム
R.M.Fシリーズ
メイプルに着目して開発。メイプルの特徴は以下。
メリット | 明るく硬質な音が鳴る。 |
デメリット | シェルが鳴らない、中低域が伸びない、倍音が気になる。 |
これらの解消にレインフォースメントを使うことに。レインフォースメントとシェルの関係をギターのブリッジと弦の関係に仮定して研究。その組み合わせの暑さやプライ数を無数に試作していった結果、トータルバランスに優れ、あらゆるジャンルに対応できるドラムができました。
バーチシリーズ
R.M.Fシリーズでフォローしきれなかった、ハードロックやファンク系のドラマーの「縦に抜ける音が欲しい」という要望に応えるために製作を開始。縦に抜ける音を作るためにレインフォースメントを排除。
あえて粗めのバーチ材と気持ち弱めの成形圧力がポイント。メイプルとは一味違う、ずっしりとした低音の伸びやパワフルさを表現しています。
ネオビンテージ(NV)シリーズ
「プレイヤーの頭の中で美化されたサウンドまで具現化する」を目標に作られています。ビンテージドラムの「くせ」までも再現しておりM1、M2にシリーズが分かれています。
M1シリーズ | 1960年代のジャズサウンドを再現。サウンド分析やモニタリングを繰り返し、メイプル+ポプラの7プライに行き着く。エッジの角度も当時を再現。あえてタム類にダイキャストフープを装備し、ハイピッチでも心のある鳴りを実現。ビンテージにありがちな個体差問題も解決した製品。 |
M2シリーズ | 1960年代のロックサウンドを再現。マホガニー+ポプラ+レインフォースメントに行き着く。薄手のプレスフープもポイント。点ではなく面でなるサウンド。現代の音と違い、胴の中の空間で打音がしっかり共鳴するようになっている。 |
カーボンファイバーシリーズ
カーボンシェルによくある「音はよく飛ぶが耳に心地よくない」という意見を解消するために開発。米国ROCKET社とコラボレーションして対応。
高密度の炭素繊維と航空宇宙分野でも使われるエポキシ樹脂を使用し、固い気の特性に似た最高の音飛びと強烈なアタック音、ロングサスティーンを実現しました。
低密度樹脂を高密度樹脂で上下に挟み込むような構造により、内臓レインフォースメントとも言える構造を実現。ふくよかな中域も表現。幅広いチューニングレンジも実現しています。
マホガニー

1960年代のサウンドテイストに現代のサウンドテイストを付加しました。マホガニー+ポプラ+バーチの6プライにメイプルのレインフォースメント、さらにエッジトップにバーチ材を配置することで、ふくよかさと音の輪郭を両立しています。
ゼルコバ
CANOPUSさんが初めて手がけたオリジナルドラムです。エッジの角度の研究を重ね、伝統的な45°ベース以外の70、60、30といった様々な角度のエッジ製作をし、現在のエッジシェイプに行き着きます。
CANOPUSさんは、この研究の中で、伝統的な45°エッジは普遍的な物でなく、これまでの胴の材料等の状況にあった物だったということに気づくいたそうです。
音の自然な響きは振動する単一の要素であることが大きく影響します。にも関わらず現代のドラムのほとんどが合板であるのは、単板くりぬき胴にはとても壊れやすいという欠点があるからです。一方で、合板には多量の接着剤が必要となり、響きを損なう要素を作ってしまっています。
一般的な単板とゼルコバの製法の違いは以下です。
一般的な単板 | 単板を曲げ、レインフォースメントで補強。 |
ゼルコバ(くりぬき) | シェルの乾燥に3年をかけ、特殊乾燥機を使うことで胴の収縮や割れを最小限に抑える。 |
エアーホールに金具がついていないのもゼルコバの特徴です。シェルにかかるストレスを軽減するため、金具をつけていません。
刃シリーズ
CANOPUSにはソリッドチューブラグという特徴があります。以下がそのメリット、デメリットです。
メリット | 振動伝達がよく、音が良い。 |
デメリット | 量産性に課題。コストが高い。 |
そこでコストカットを兼ねて別素材も研究。大きさや形状等の研究を重ね、日本刀の剣先をモチーフにしたダイキャストラグに行き着きました。結果、より安価かつ、最高の品質やサウンドの実現に成功しています。
後発の刃Ⅱは「価格に見合わないセット」と言われています。ラッカー仕上げも強制硬化系ラッカーに変更。CANOPUSの性能そのままに、シェル構造やヘッド、パーツを見直すことで、驚愕のコストパフォーマンスを実現しています。
アッシュ
アッシュの特徴は以下。
メリット | 強いアタック音があり、音の立ち上がりが早い。 |
デメリット | 加工がしづらい。 |
ここに「枯れた風味」をポプラ材でコンビネーションし、独自のエッジ加工で乾いたショートサスティーンで低域に張りがある、ドライで抜けのいいビンテージライクなサウンドを完成させています。木目の美しさも特徴です。
ブビンガ

CANOPUSはそもそも基本理念として不要な倍音をカットし、イコライジングしたような耳に心地いいサウンドを目指しています。一方、さらに突出した音飛びや硬い芯のあるサウンドを求められることもあり、ブビンガの開発に着手することになりました。
プライとエッジ形状を調整することで、硬さが強調されすぎることもあるブビンガ材を扱いやすい音質に調整することに成功しています。
ステイブブビンガ
ステイブ=ソリッドなウッドブロックシェル。特徴は以下。
メリット | 接着剤を減らせる。 |
デメリット | 厚く、質量が大きくなってしまい、鳴らし切るのが難しくなる。 |
CANOPUSでは、内部の一部をくりぬき、エッジ付近をレインフォースメントのような形状にすることでポテンシャルの発揮を実現。ダイナミックで野太いサウンドに。
大音量の中でも圧倒的な存在感を放ちます。プライウッドではなかなか難しい、ダークでウェットなキャラクターを発揮しています。
アクリルドラム
鳴らないとされていたアクリルの加工にも着手しています。一点止めラグにも耐久性があり、かつ音が詰まる印象を払拭しました。
CANOPUSの魅力はユーザーに寄り添う姿勢!
CANOPUSさんはドラムカスタムショップから始まっているだけあって、ユーザーのフィードバックを大事に試行錯誤されている様子が多々みられています。
私自身、以前CANOPUSさんの「刃アルミシリーズ」を愛用していました。今まで最もバンド内で褒められたのがこの「刃シリーズ」でした。今振り返ると、イコライジングされた音の再現が生かされた結果だったんだなぁ、と感じています。
今回CANOPUSさんについてまとめさせてもらって、より一層、めちゃくちゃCANOPUSさんのファンになりました!
ぜひ、9.21の「すごいぜ刃キット」でみなさんCANOPUSさんの魅力に触れてください!!最後宣伝ですみません!笑
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