- ジャズドラムを覚えたいけど、何から始めたらいい?
- ジャズドラムの練習方法は?
- 「シンバルレガート」「コンピング」って何?
- セッションで叩けるレベルになりたい。何をしたらいい?
ジャズって大人の雰囲気があって憧れますよね。でもあまりにロックやポップスと違いすぎて何をしたらいいか分からない。私にもそんな時期がありました。私はドラムを29年間演奏してきました。いくつものジャズセッションにも参加しています。
そんな私が、ジャズドラム初心者がどうジャズを覚えていけば良いかを解説します。この記事を読めば、ジャズドラムの4ビートを覚え、セッションの参加方法が分かります。
ジャズドラムの基本の形を覚え、ジャズのスタンダードを覚えましょう。基本と曲を覚えれば、少しずつセッションに参加してジャズドラムを楽しめるようになります。
まずジャズを知ろう

ジャズには以下の特徴があります。
- 即興演奏中心。
- 3連符でリズムが流れる。
- 多くのジャンルに分かれている。
即興演奏が中心
ジャズは即興演奏中心の音楽ジャンルです。ジャズはアフリカやアメリカの、様々な文化が混ざって生まれた音楽です。即興性の要素があるアフリカ音楽の影響を強く受けています。
同じ譜面を使っても、リズムや音程をその場の判断で変化させ、自由に演奏します。即興性の強い、自由度の高い音楽ジャンルです。
3連符でリズムが流れる
ジャズでは3連符を基本にしてリズムを考えます。ジャズは様々な音楽文化が混ざって生まれる中で、リズムも混じり合っています。きっちりとした8分音符ベースのイーブン(平坦)なリズムではなく、1拍を演奏者それぞれの感覚で3分割した3連符を中心に演奏されるのです。
ジャズは「タタタタ」という均等なリズムが常に流れるのではなく、多少前後に揺れるような「タタタ タタタ」という3連符のリズムが基本になります。
多くのジャンルに分かれている
ジャズには様々なジャンルがあります。「ビ・バップ」「ボサノヴァ」「ビックバンドジャズ」や「フリージャズ」など分け方にも人それぞれの主張があるほどです。セッションの参加を目標にするなら、よく演奏される「ビ・バップ」を覚えるのが良いです。
ジャズには多くのジャンルがあります。好きなジャンルを選んで挑戦してみましょう。
セッションの定番ジャンルは「ビ・バップ」
セッションでは「ビ・バップ」が好んで演奏されます。次に、ビ・バップの特徴をお話しますが、ジャズ自体の特徴に「自由度の高さ」があるため、ルールが明確に決まっていません。絶対ではありません。
- おおむね12小節や16小節のフレーズ(テーマ)を繰り返し、アレンジをしながら演奏をしていく。
- メイン楽器(管楽器やピアノ)がテーマを演奏し、次はそれをアレンジして演奏する。
- アレンジ演奏はどんどん別の楽器に交代。
- 演奏順は「管楽器」→「ピアノ」→「ベース」→「ドラム」。
- ドラムがアレンジ演奏(ソロ)し、テーマに戻って終わる。
- 管楽器はテーマとアレンジ演奏のみ行う場合がほとんど。
- アレンジ演奏が始まると、どんどん楽器が減っていく。
- ベースが演奏するときにはベースとドラムでの編成となり、ドラムはソロ演奏になる。
- ドラムソロは「4バース」という形式で行われることが多い。
- 「バース」は小節数を表す。4小節ドラムが演奏し、その後別の楽器が4小節演奏する。それをテーマの小節数の分行う。
ビ・バップの特徴を覚えるとセッション参加への近道になります。
まず4ビートを練習しよう
4ビートとは、シンバルレガートとフットハイハット(ハイハットシンバルを足で踏んで鳴らす奏法)を中心に構成されるリズムパターンです。譜面では以下の図のように表されます。

4ビートの練習はシンバルレガートから
4ビートの核となるシンバルレガートから練習を始めましょう。シンバルレガートというのは、4ビートの内、ライドシンバルで刻むリズムのことです。

ロックやポップスではバスドラムとスネアドラムを中心にビートを構成します。ジャズではシンバルでビートを構成します。シンバルレガートができるようになったら、フットハイハットを2拍目、4拍目に入れられるように練習しましょう。

まずはシンバルレガートとフットハイハットで4ビートを完成を目指します。次に、シンバルレガートのリズムを早くしたり変化を付けたり、フットハイハットの位置をずらしたりする練習をしましょう。
スネアドラムでコンピングを入れる練習をしよう
シンバルレガートとフットハイハットに余裕ができたら、スネアドラムを入れられるようにします。「コンピング」とは、リズム楽器による伴奏のことです。ジャズドラムでは、「スネアドラムをメロディーにからめる。相づちをうつように鳴らす。」ことを指します。
スネアドラムの入れ方は曲に合わせて特に大きく変化します。どんなパターンでも入れられるように練習しましょう。最初にシンバルレガートに慣れ、徐々にフットハイハットやスネアドラムを足していきましょう。
セッションのためにテーマを覚えよう

セッションに参加するためにはテーマをどれだけ覚えているかが大切です。テクニックも重要ですが、同じくらい「どのくらいの曲数テーマを覚えているか」が大事になります。
セッションでは、よく演奏される曲(スタンダード)があります。その曲のテーマをどのくらいの数覚えているかが重要です。テーマを覚えていなくても演奏は可能です。しかし、1回テーマを聞いただけでその後の展開を読む力や対応力といった、高度な技術と経験が必要になります。
セッションでよく演奏される曲は「スタンダードブック」、ジャズ演奏者の中では「黒本」と呼ばれる本に載っています。黒本の掲載曲をなるべくたくさん覚えましょう。
テーマを覚えるために「名演」を聴こう
スタンダードのテーマを覚えるためには「名演」と言われる演奏を聴くことが大事です。ジャズは即興演奏なので、同じテーマでもかなりアレンジされて演奏されています。テーマを覚えたくてもどれを基準にして覚えたらよいか分からないほどです。
曲によって、ジャズ演奏者が「これがすばらしい」と認める「名演」と呼ばれる音源があります。ジャズ演奏者はそれを基準にして練習していることが多いです。名演を覚えておくと、周りとのズレが少なくなります。
いくつか名演と呼ばれる音源を紹介します。
- “Autumn Leaves” – Cannonball Adderley
- “Summertime” – Ella Fitzgerald & Louis Armstrong
- “Fly Me to the Moon” – Frank Sinatra
- “All of Me” – Sarah Vaughan
- “Stella by Starlight” – Miles Davis
- “All the Things You Are” – Sarah Vaughan
- “Just Friends” – Charlie Parker
名演を覚え、テーマをたくさん覚えましょう。
テーマを覚えるためにはセッションを見に行くのも効果的
テーマを覚えるために、実際にセッション会場に行くのも効果的です。黒本には200曲以上掲載されており、全てのテーマを覚えるには時間がかかります。そこで、覚える曲をしぼってしまいましょう。
セッション会場には常連が集まるため、決まった曲が何度も演奏されることが多いです。自分の参加したいセッションにまず聴く側として参加し、何がよく演奏されているのかをチェックしましょう。覚えるべき曲が分かり、効率よくテーマを覚えられます。
演奏されている曲を聴くだけでなく、セッションの中心メンバー(ホスト)や店員さんによく演奏される曲を質問するのも良いです。セッションに参加できるよう、より早くテーマを覚えられるようにしましょう。
ジャズを覚え、どんどんセッションに行ってみよう

ジャズは即興演奏が中心です。ジャンルが多く分かれているので、どのジャンルに興味があるのかを理解することが大事です。
まずは基本の4ビートを練習しましょう。スタンダードのテーマも同時に覚えていきましょう。
ロック、ポップスと違い、ジャズはセッション会場に行けば人がすでに集まっているためすぐに演奏ができます。セッションは最高の遊びで最高の練習になります。セッションへ行き、ジャズの深みにどんどんはまっていきましょう。
セッションに参加した体験談についてこちらで紹介しています。ぜひ参考になさってください。
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